今回は金管楽器、特にチューバの「形」について考えてみます。
今までに同じチューバでも、多種多様な形状の楽器があると思った事はありませんか? これは車などと同じように、色々な性能を追求することによって、各メーカーで工夫されたデザインになっているのです。 一般に工業の世界では、全ての性能を満足する「究極のデザイン」というのはまずありません。 必ずどこかで妥協し、全体のバランスを取ったデザイン、形になります。 例えば「速い」「たくさん荷物が積める」「燃費がいい」といった条件を満たす車を作ってみましょう。 手っ取り早く「速く」するためには、ガソリンをたくさん使えばいいですが、「燃費がいい」という条件を満足できません。 では、ボディを小さくして空気抵抗を減らしましょう。 ところが今度は「たくさん荷物が積める」という条件が満足できません。 つまり、全ての条件をバランスよく満足したポイントにある車がデザインされます。 分かりやすくするため、これらの性能をそれぞれ「スポーツタイプ(赤)」「トラッタイプ(黄)」「エコロジータイプ(青)」とし、 下のような図にしてみました。 それぞれの円が重なった部分が全ての条件を満たした車、一般車と言えるでしょう。
この例同様に、楽器でも色々な性能のバランスを考えて設計がされています。 性能の話に脱線しましたが、今回は楽器のどの部分の形が性能に影響するかを考えてみます。
○1、管の太さ
○2、管の厚さ
○3、管の配置(管の曲げ方)
では「管の直径の変化」とは何でしょうか。 下に双方の楽器を一直線に引き伸ばした図を載せました。
トロンボーンはずっと管の直径が一定でベル付近で拡がっています。 一方、ユーフォニウムは途中から直径が拡がり始めています。 このように「管の巻き方」と「管の直径の変化」は、 トロンボーンとユーフォニウムを比べればいかに影響しているかが分かると思います。 チューバでもこれに近いものがあり、円錐管と円筒管の2種類があるようです。 |